Inside out

私は裏返すという感覚が大好きです。破れたテニスボールを逆さにしたり、表裏逆の服も好きですし、ヘアカットにさえ内側から切り始めて外側で終わるということがあります。一種の告白でもあるような気がします。先日、好きな現代美術家に女性が多いという話をしましたが、レイチェル・ホワイトレッド*を忘れておりました。彼女は家やインテリアにロウや石膏、セメント等を流して空間そのものを型どる作家です。つまりポジとネガが反転して、空気(凹)の部分が凸(ポジティブ)作品となるのです。ぬけがらの部分に人の歴史、記憶が記されるのです。何度か石膏で顔の型どりや歯の印象(キャスティング)をしたことがありますが、その時も同じ印象を受けました。凹の側に妙なリアリティと告白があることを。 * Rachel Whiteread