Improvisation

ヘアカットを演奏に例えるならラルテのカットの肝は即興演奏部分にある。クラシックのカデンツァ、ジャズのインプロヴィゼッションのような部分でしょうか。前述のように、サスーンメソッドにより、ラルテでつくる髪型の根幹の部分は、スタイルの構造やモード、様式でかなり理論にのっとってカットされてゆきます。それから、最も大切で個人差の出る部分、ひとりひとりのお客様に似合わせるための即興演奏をおこないます。非常にパーソナルで、その時やムードやモードで移り変わります。これこそが十人十様の違いをつくりだす重要な部分です。調性や拍子に立脚したうえでいかに多様なソロ演奏ができるかがスタイリストの力量であるともいえます。ヘアカットはクラシック音楽のように楽譜主体ではないので、かなりの自由度があるのですが、自由度という意味では、ジャズというよりもロックに近いかな。ただし、昔から楽譜主義な美容師が多いのも事実です。